この記事は推理小説「卒業」をこれから読もうか考えている方に向けた作品紹介&感想です。
読みたくなるようなおすすめ要素を詰め込みますので、ぜひ参考にしてください!
ひとりでも多くの人に読んでもらい、東野圭吾作品の面白さを知ってもらいたいよ!
「卒業」はこんな方におすすめです。
・ヒューマンドラマが好きな方
・大学生の方(主要登場人物が大学生なので)
・ドラマ「新参者」が好きな方
作品を楽しむためのポイント
本書のポイントは2つあります。
1つは茶道の雪月花之式を利用したトリック。
もう1つは登場人物である大学生達それぞれの思いです。
大学生ならではの苦悩や欲望が皮肉にも、友情に悪い結果を招いてしまいます。
茶道の雪月花之式とは簡単に言うと、6人以上で行う札を使ったクジ引きゲームのことです。
クジでお茶を点てる人、お茶を飲む人、お菓子を食べる人、を決めてそれぞれの役割を果たすことで1回とカウントし、それを何回も繰り返します。
当たり札には「雪」「月」「花」と書かれています。
「雪」はお菓子を食べる人、
「月」はすでに用意されたお茶を飲む人、
「花」は次の回の分のお茶を点てる人です。
当たり札以外には「一」「二」「三」と数字が書かれており、外れ札を意味します。(6人より人数が多い時は「四」「五」と数字札が増える)
誰か1人が「雪」「月」「花」の全ての役割を果たしたらゲーム終了です。
雪月花之式をまとめるとこんな感じです。
6人以上でやるクジ引きゲーム。
札の種類
「雪」…お菓子を食べる人
「月」…すでに用意されたお茶を飲む人
「花」…次の回の分のお茶を点てる人
「一」…外れ
「二」…外れ
「三」…外れ
それぞれの役割を終えるとその回が終了。
何回も繰り返し、誰か1人が雪月花を全部やったらゲーム終了。
本書ではさらに札の回し方など細かなルールが書かれています。
この雪月花之式のルールを利用したトリック。
複雑そうですね…。
どんなトリックが仕掛けられたか気になってきませんか?
ぜひ本書を読んでいただき、どんなトリックが使われたか考えながら楽しんでいただきたいです。
複雑そうだぁ~!
ゴリゴリの推理小説だね。
ちなみに本作は加賀恭一郎シリーズ全11作あるうちの第1作目でシリーズ唯一、加賀恭一郎が刑事になる前の作品です。
もし、加賀シリーズが気になる方は本作から読み始める事をおすすめします!
特にこだわりがなかったり、すでに先の作品を読んでる方は、好きなところから読んでも差し支えはありません。
あらすじ
男女7人は高校からの友人で大学でも変わらず良好な仲でした。
メンバーは沙都子、波香、祥子、華江、加賀、藤堂、若生です。
ストーリーは加賀から沙都子への告白シーンから始まります。
加賀は告白の返事を求めず、沙都子も不意を突かれた告白に応えられずにいました。
沙都子はその後波香、藤堂と会います。
そこで祥子の具合が悪く、大学を早退した話を聞きます。
祥子は男子禁制の規律の厳しい学生アパートに住んでおり、恋人の藤堂はお見舞いに行けないのを残念に思いました。
ちなみに波香も祥子と同じアパートに住んでいます。
その後、沙都子と波香は行きつけの店に飲みに行き、波香は剣道は大学で終わりにすると話します。
波香は中学から剣道に青春を捧げますが、大学の県大会決勝戦で力を出し切れずに敗れ、無念にも優勝を逃します。
沙都子はそんな不完全燃焼のはずの波香を心配していました。
翌日、沙都子は波香・祥子の住む学生アパートに行きます。
波香を訪ね、その後具合が悪いと聞いていた祥子の部屋に行きます。
部屋には鍵が掛かっていましたが、違和感から管理人にマスターキーを借りて部屋に入ります。
そこで、祥子は左手首を洗面器に入れた状態で死んでいました。
祥子の自殺の原因はなんだったのか、沙都子達は誰もわかりませんでした。
祥子の自殺を割り切れない沙都子達は、祥子の日記を頼りにその原因を探っていきます。
しかし祥子の部屋の隣に住んでいる女子大学生・智子の発言により、祥子の死に他殺の可能性が出てきます。
沙都子達は他殺の線で推理をしていきます。
他殺だと2つの密室の謎があります。
1つは祥子の部屋の密室、もう1つは学生アパートの出入りです。
学生アパートの正面出入口は厳しさで定評のある管理人がいますし、裏口には常に鍵が掛かっています。
密室の謎を解決するには裏口の鍵を開け閉めする共犯の可能性も出てきます…。
さらに祥子の死について捜査する刑事からの情報で、他殺の色が濃くなります。
少なくとも、祥子以外の人間があの夜部屋にいたと思われるような情報です。
沙都子達は真相に届く手応えがないままでした。
一方、この頃から波香が秘密裏に大学の剣道部に聴き込みを行います。
そうしているうちに、高校時代の恩師・南沢の誕生日がやってきました。
沙都子達は毎年、南沢の誕生日に茶道の雪月花之式を行っていました。
今回も南沢の家で、加賀、祥子を除くいつものメンバーで行いましたが、ここで悲劇が起こります。
「月」の札を引き、お茶を飲んだ波香が痙攣を起こして死にました。
死因は毒でした。
身内で行われた雪月花之式での死。
自殺でないなら、仲間内に毒を盛った犯人がいることになります。
祥子の死の謎も解けないまま、波香の死の謎が重なります。
それに対し加賀は一つ一つ慎重に真相に近づいていきます。
祥子の死は自殺か他殺か?
密室の謎は?
波香の秘密裏に行った聴き込みとは?
波香はなぜ殺されたのか?
雪月花之式のトリックとは?
そして、加賀の恋の行方は?
沙都子の答えは?
謎が謎を呼ぶ!
そして2人はどうなる〜?!
気になる方はぜひ東野圭吾著書「卒業」を読んでみてください!
感想
「卒業」というタイトルが合うような喪失感がありました。
大切な仲間が死んでしまった悲しさや、今回のような事件を引き起こしてしまった原因にやるせなさが残ります。
高校までは同じような思いでいたのに、それぞれの価値観で、それぞれの思いを抱いてバラバラの道を歩む様は大学「卒業」という物悲しさを感じます。
本書ではそのようなヒューマンドラマも楽しめます。
また、トリックに関しては、雪月花之式自体が少し複雑なので自分で推理していくにはじっくり読み込みたいところです。
結局自分でどんなに考えてもわかりませんでしたが・・・(^-^;
トリックが明かされた時はそっか~!とすごい納得しました。
密室のトリックについては、う~ん学生ならでは視点なのかもしれません。
まさかと思う手口でした。
「卒業」はトリックもじっくり楽しめる推理要素もあり、大学生のそれぞれの思いが絡み合うヒューマンドラマな要素もあり、非常に読みごたえがありました。
非常におすすめの一作です。
ちなみに、加賀恭一郎シリーズの第2作目の「眠りの森」については【読書検討向け】東野圭吾「眠りの森」あらすじ&感想 バレエ団の秘密。舞台に人生を捧げるバレリーナたちの想いで紹介しています。
こちらも第1作目に引けをとらない、ヒューマンドラマ要素強めの推理小説です。
バレエ団で起こる数々の事件、その真相に衝撃と涙が伴います!
第2作目は個人的にすごくおすすめなストーリーなので、ぜひ興味を持った方はお読みください!
では、最後までお読みいただきありがとうございました。
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