がっつりネタバレ 東野圭吾「悪意」あらすじ&感想 小説全体が巧妙な罠!?衝撃のどんでん返しストーリー

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東野圭吾さんの本格ミステリー推理小説「悪意」の、ネタバレを含んだストーリー紹介&感想です。

この記事では犯人の名前から最後の結末までかっつりネタバレの内容が書かれています。

ストーリーは知りたいけど犯人の名前や結末まで知りたくないという方は、【読書検討向け】東野圭吾「悪意」あらすじ&感想 きっとあなたも騙される!衝撃のどんでん返しストーリーでストーリー紹介をしているので読んでみてください。

あらすじ

最初に大事なのが、この物語の展開は児童文学作家・野々口修の手記の章と刑事・加賀恭一郎の推理の章を、交互に繰り返して書かれていることです。

ナレーションではなく「野々口による手記」というところにこの物語がどんでん返しに至る仕掛けがあります。

野々口の手記の章 ~事件~
加賀の推理の章 ~事件捜査~
野々口の手記の章 ~犯人逮捕~
加賀の推理の章 ~動機の捜査~
野々口の手記の章 ~動機の告白~
加賀の推理の章 ~事件の真実~
わかりやすくすると、このように進んでいきます。
(実際の本の目次とは異なります。)

では早速ストーリーを紹介していきます。

野々口の手記の章 ~事件~

野々口が友人の人気作家・日高邦彦の自宅に訪問するシーンから始まります。

日高は次の日、夫婦ともに海外移住のため、翌日出発をする予定でした。

野々口はそのお祝いに訪問しました。

野々口は日高から驚く話を聞きました。

それは日高がご近所さんの飼い猫を殺したという内容です。

庭の猫の糞に悩まされていたため、毒団子を庭に仕掛けて殺しました。

雪だるま
雪だるま

猫を殺すなんてひどいよ~

しかし、日高にはもう一つ悩みがありました。

それは中学の同級生・藤尾正哉の妹、藤尾美弥子です。

彼女は日高著書の『禁猟地』に対し書き直しの抗議をしていたからです。

抗議の理由は兄・正哉が『禁猟地』の話のモデルとなっていたからです。

この日も美弥子は野々口と入れ替わりで日高宅を訪れました。

野々口は帰宅後、自宅で担当者と仕事の打合せをします。

打合せ中の夕方6時、日高から電話があり日高宅で夜8時に会う約束をします。

野々口は夜8時に日高宅に再び訪問。

しかし家の明かりが消えていたため、野々口は電話で理恵に日高宅に来てもらうよう伝えました。

理恵の到着後、鍵を開けて仕事部屋を見たふたりは・・・

日高が死んでいるのを発見しました。

警察に連絡後、刑事・加賀が野々口を自宅に送ることになります。

加賀は、かつての野々口が教師をしていた時の仕事仲間でした。

両者とも教師を辞めたわけですが、こんな形で再会を果たします。

そして野々口がこの事件について手記することを聞いた加賀は、手記を手掛かりに事件捜査に取り掛かります。

加賀の推理の章 ~事件捜査~

事件捜査により、容疑者は野々口と美弥子に絞られます。

凶器が現場に置いてあった日高の持ち物だったため、突発的な殺人と判断。

その日の訪問時に殺意が生まれ殺人に至ったという推察から、訪問客の2人に容疑がかかります。

加賀は野々口の手記が捜査内容と相違がみられる点から、野々口が怪しいと睨みます。

野々口の手記の章 ~犯人逮捕~

捜査の結果、犯人は野々口だと判明します。

野々口の犯行をまとめると次の通りです。

移住祝いに訪問した際、帰宅せずそのまま日高宅の庭に身を潜めます。

庭は仕事部屋に面していました。

訪問客・美弥子が退去し、妻・理恵の外出後、仕事部屋の窓から侵入して日高を殺害。

夕方6時に野々口宅の電話がなるようトリックを仕掛け、担当者の前で会話をするふりをします。

その後、理恵とともに死体を発見した、ということです。

雪だるま
雪だるま

野々口が犯人だったのか~!
でもなんで日高を殺したんだろう?

加賀の推理の章 ~動機の捜査~

野々口は動機については一切話そうとしません。

加賀は捜査を続け、野々口の動機を調べます。

そして捜査をするうちに野々口宅から次のものが見つかります。

・膨大な量の日高の小説と似た原稿
・女性関係を臭わす品々(女性もののエプロン等)
・日高の前妻の写真(日高の前妻は交通事故で他界)

雪だるま
雪だるま

もしかしてゴーストライター・・・?
それに日高の前の奥さんとデキてたんじゃ・・・?

さらに日高の遺留品から次のものが見つかります。

・本のくり抜き部分に隠されたビデオテープ
・野々口の指紋がついたナイフ

捜査内容から、加賀は事件の動機を暴きます。

野々口の手記の章 ~動機の告白~

動機は、野々口が過去犯した日高殺人未遂の弱みを握られている事でした。

野々口は過去にも日高を殺そうとしています。

その理由は、まだ野々口が作家になる前の出来事にありました。

野々口は、先に作家デューを果たした友人・日高に、自分の書いた原稿を読んでもらっていました。

また、この時期野々口は日高の前妻と恋仲になります。

いわゆる不倫、いけない恋です。

前妻の知らせにより、日高がが野々口の作家デューを邪魔する事を企んでいると知ります。

さらに、不倫が日高に感づかれている可能性を知らされます。

前妻は不倫が日高にバレたら野々口に報復するだろうと苦しみ、野々口は前妻と別れたくないと苦しみます。

そうして野々口は前妻の協力のもと日高殺害を決行。

しかし日高に見破られ未遂に終わる上に、証拠品として野々口の指紋のついたナイフを取られます。

また、日高宅に侵入する様子が写ったビデオテープも日高の手中にありました。

日高は野々口の原稿から盗作し本を出版。

さらに野々口に対しゴーストライターになるよう迫ります。

弱みを握られた野々口は逆らえずゴーストライターに。

しかし作家を目指す野々口にとって自分の創作物が他人の物として世に出ることほど辛いものはありません。

雪だるま
雪だるま

やっぱりゴーストライターだった。
日高の「悪意」・・・。残酷すぎる。

その後前妻は交通事故で他界。

この時野々口は精神的に衰弱し、日高への殺意に蓋を閉じます。

時は経ち、今回の海外移住を機に今までの我慢が限界に達し、突発的に殺人に及んだということです。

動機をなかなか話そうとしなかったのは前妻との関係を隠すためでした。

加賀の推理の章 ~事件の真実~

事件は一件落着。

しかし加賀はこの終幕に違和感を覚え独自捜査を続行します。

野々口と日高の関係性を知るため、2人の中学時代まで遡って調べます。

2人は同じ小・中学校に通う幼馴染でした。

2人をよく知る人達から彼らの話を聞きますが、加賀は釈然としません。

聴き込みから浮上する2人の人物像は、日高は人柄がよく、野々口は不貞腐れている印象でした。

雪だるま
雪だるま

え、どういうこと?
日高はひどいやつでしょ?

徹底した捜査から加賀はついに事件の真相を暴きます。

野々口の本当の目的。
それは日高の人間性を貶めることでした。


『禁猟地』のモデル・正哉はいじめっ子でした。

中学時代、野々口はいじめの対象を逃れるべく、正哉と一緒に友人の日高をいじめます。

ある日正哉は野々口に手伝わせ女子生徒を暴行します。

その時正哉が撮った写真に野々口が写っており、日高はその写真を持っていました。

時は経ち、野々口と作家デューをした日高は再会し、当時のことを和解。

最も、野々口にとっては和解のふりでしたが、人のいい日高は旧友との再会を喜びます。

しかし日高による『禁猟地』の執筆で野々口は自分の過去が露呈するのではと危惧します。

美弥子の抗議で争いが法廷に及べば、例の写真が出てくる可能性があります。

もともと日高を快く思っていない野々口。

さらに作家デューの先を越された妬みもあり、殺害にあたり手の込んだ仕掛けをしました。

その仕掛けとは、野々口の手記そのもの

さらに捜査で発見された

・膨大な量の日高の小説と似た原稿
・女性関係を臭わす品々
・日高の前妻の写真
・本のくり抜き部分に隠されたビデオテープ
・野々口の指紋がついたナイフ

も野々口が用意したもの。

つまり、手記の内容はほぼ野々口による捏造だったのです。

日高が猫を殺したことも、
前妻と不倫関係にあったことも、
ゴーストライターも、
日高殺人未遂も。

雪だるま
雪だるま

えーーーーーーー!

日高を人間性を貶める野々口の「悪意」。

本当の動機(中学時代の秘密)を隠すのみならず、世間の目が「野々口への同情」「日高への非難」に集まり、あわよくば日高の作品の名誉さえ自分のものにしようとしていたのです。

加賀はこの事件の動機に対してこんな考えを持っていました。

単に中学時代の秘密を隠すためなら、殺害の動機は何でもよかったはずだと。

本当のところ明確な動機等なく「気に食わなかったから」とい気持ちから、日高を貶めるにあたる計画を練り上げたのだと、考えていました。

これにて事件は本当の終結を迎え、幕を閉じます。

ちなみにこの作品は加賀恭一郎シリーズの第4作目です。

第1作目から読むと加賀がどんな人なのかが見えてきますよ。

第1作目「卒業」は【読書検討向け】東野圭吾「卒業」あらすじ&感想 友人の死の謎は?茶道の中に仕掛けられたトリックとは?でネタバレ少なめで紹介しています。

感想

最後のどんでん返しがすごいです!

まんまと仕掛けに引っ掛かりました!

特に最初の猫殺しの件で、日高の第一印象がかなり悪くなったため、日高がいい人だったということを理解するまでは混乱しました。

東野圭吾さんの作品の作り込みに驚愕ですね。

野々口の手記自体が仕掛けだったなんて、読者にはわかりませんよね。

わかるのは加賀刑事くらいです(笑)

私は野々口の「悪意」に執念すら感じぞっとしました。

日高を貶め、さらに名誉の横取りのために膨大な偽の小説の原稿を書いていたのですから、すごい労力をかけていたことがわかります。

並大抵のことではできませんよね。

偽の動機を用意するのに、色々選択肢はあったはずなのに、時間をかけてこんなに凝った仕掛けをするとは・・・これこそタイトルの「悪意」にふさわしいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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雪だるま

雪だるまです。海自彼女→海自妻&一児の母。海上自衛隊の彼女の実態、海上自衛隊の妻の実態、育児、私の趣味、について綴っているブログです。私の語りが誰かの役に立てばいいな、という想いで書いております。

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