「お父さんはきっと、あなたのことは信用なさってると思うわ。お父さんが信用できないのは、あなた以外の人間なのよ」
東野圭吾「卒業」より
東野圭吾さんの推理小説「卒業」の中に出てくる文章です。
大学4年生の沙都子に対して、沙都子の恩師・南沢雅子が言った言葉です。
沙都子は就職先が決まり上京をしようと思っていました。しかし、上京することを父親から反対されます。
沙都子はなぜ父親が反対するのか、説得するにはどうすればいいのか悩みます。
それを恩師・南沢に相談するとこの言葉が返ってきました。
書籍「卒業」については【読書検討向け】東野圭吾「卒業」あらすじ&感想 友人の死の謎は?茶道の中に仕掛けられたトリックとは?で紹介をしています。
この一文が響いた時の心情
私はこの時期、両親に結婚を反対されていました(ちなみに現在進行形 (-_-;))。
しかし結婚に限らず父親からは今まで大学進学先、就職先も反対されています。
私は大学受験も就職活動も思うように結果が出ず精神的に弱っていたので、受かったところに行きたい、浪人したくない、という思いがありました。
大学は成績上位優秀者になる条件付きで進学、就職は大学卒業間近でやっと父親が納得するところに決めることができました。
私はこの時期、大して優秀でもないのに「親の期待に応えなければ」という思いに駆られていました。
しかし、今度の結婚に関しては譲れませんでした。
「この人(彼氏)と結婚したい」という気持ちが強かったからです。
なぜいつも私の決めたことに反対するのか怒りが込みあがっていました。
その時この一文が1つの答えをくれたような気がします。
「お父さんはきっと、あなたのことは信用なさってると思うわ。お父さんが信用できないのは、あなた以外の人間なのよ」
東野圭吾「卒業」より
そっか、父は心配だったのか。
確かに父親は人一倍心配性でした。
私の結婚の意思は変わらないけれど、反対されることに対する怒りは納まりました。
よく、親の心子知らず、と言われますがこういうことなのですね。
親に反対されても自分の決めた道を進もうとするあなたへ
恩師・南沢の言葉にはこんな続きがあります。
「どういうふうにしても四方八方うまくいくということが無理な場合は多いものです。あなたの決心が固いのならそうしなさい。お父さんも納得させて、皆から祝福されながら旅立とうというのは虫のいい話ね。それに、お父さんを納得させようというのは思いあがりだと私は思うわ」
東野圭吾「卒業」より
自分の決めた道を進むというのは言い換えれば「わがままを通す」ことです。
わがままですから、両親から歓迎されないのも当然ですね。
それでも自分の人生ですから悔いのないようにしてほしいです。
両親からの反対というのは、子供にとって自分の意思決定に大きく影響を与えますよね。
悲しみ、失望、怒り、恨み、迷い、等の感情が心を支配します。
でもそんな時に見失わないでほしいのは2つです。
1つは目的です。
誰の、誰のための、何のための意思決定なのか。
もう1つは両親への感謝の気持ちです。
産んでくれたこと。
莫大な時間やお金をかけて、時には自分の気持ちを我慢して、育ててくれたこと。
あなたに悔いのない選択をしてほしいと思います。
正しいか間違ってるかではなく、あなたが考えた末の悔いのない選択です。
勇気をもって決めてもらいたいです。
最後に
この記事を読んでくださったあなたに、1つでもヒントになることがあれば幸いです。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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